私の家によく遊びにきてくれた中国人の友達はとてもカワイイ人でした。日本に留して、大学を卒業して、就職もしました。本当に優秀な人です。今は、京都にお嫁に行って、なかなか会えません。
先日、久しぶりに彼女からメッセージがきました。親しい仲ですが、彼女は敬語でメッセージを送ってきます。私の方が20歳ぐらい年上なので、彼女が敬語を使います。
今回の彼女のメッセージで「寝る」の尊敬語がちょっと変でした。「寝る」を尊敬語にしようとして、うまくできなかったようです。
尊敬語を使おうとしたら、「え??あれ??なんだっけ??」みたいなことがあります。日本人の私でも、よくあります。
それで、今日は「寝る」の尊敬語を、皆さんといっしょに考えてみようと思います。
尊敬語「もう寝てますか」「もう寝ていますでしょか」でいい??
「もう寝ています」に「でしょうか」をつけて「もう寝ていますでしょうか」の表現は、意味は通じますが、不自然な表現になります。「寝る」と「ますでしょうか」のつり合いが悪いので違和感があります。では、いっしょに考えてみたいと思います。
「もう寝ています」の尊敬の意味は、5つの表現が可能です。
①尊敬語動詞「寝られる」➡「もう、寝られましたか」
②「休む」の尊敬語動詞「休まれる」➡「もう、休まれましたか」
③「休んでいる」(~ている)の敬語「お+ます形+です(か)」➡「もう、お休みですか」
④「休む」の「お+ます形+になります(か)」➡「もう、お休みになりましたか」
⑤「休む」の「お~~でいらっしゃいます(か)」➡「もう、お休みでいらっしゃいますか」
※①から⑤の順で丁寧さが増す。
「寝る」の尊敬語動詞が「寝られる」なので、私と彼女の関係では、「もう、寝られましたか」でも問題はありません。「寝る」は「休む」でも使えます。休むの尊敬語動詞は「休まれる」なので「もう、休まれましたか」でも問題ありません。
「です・ます」を丁寧形といいます。「尊敬語動詞」は丁寧形より敬意が上がります。社内会話の主流は、尊敬語動詞といってもいいでしょう。
今回、彼女が尊敬語動詞の存在を忘れていたようです。
①②「休む」と「寝る」の尊敬語動詞の作り方
尊敬語動詞の作り方の復習です。「休む」「寝る」は同じ動詞ですが、動詞のグループが違います。「休む」は①グループ、「寝る」は②グループです。なので尊敬語動詞の作り方が違います。
「休む」の尊敬語動詞は「休まれる」です。なので、「もう、休まれましたか」と言えばいいです。
「寝る」の尊敬語動詞は「寝られる」です。なので、「もう、寝られましたか」と言えばいいです。
辞書形 | 辞書形➡尊敬語動詞 | 尊敬語動詞 | ||
1⃣ グ ル ー プ 動 詞 | やすむ いく かう さがす | う段 ↓ あ段+れる | やすまれる いかれる かわれる さがされる | 尊敬語動詞 受身形は同じ |
2⃣ グ ル ー プ 動 詞 | ねる おきる もどる やめる | る ↓ られる | ねられる おきられる もどられる やめられる | 尊敬語動詞 受身形 可能形は同じ |
3⃣ グ ル ー プ 動 詞 | する くる | する ↓ される くる ↓ こられる | される こられる | 尊敬語動詞 受身形は同じ 尊敬語動詞 受身形 可能形は同じ |
ここで、ちょっと頭を整理しておきましょう。
①ブループの尊敬語動詞は、受身と同じです!
②ブループの尊敬語動詞は、受身・可能動詞と同じです!
③ブループの尊敬語動詞は「する」は、受身と同じです!
③ブループの尊敬語動詞は「くる」は、受身・可能動詞と同じです!
③「休んでいます」と「お休みです」
「~ています」を「お+ます形+です」の形にすると、もっと丁寧な言い方になります。
「休んでいます」は「お休みです」「お休みですか」になります。
作り方は「お+ます形+です(か)」の形にすればいいです。
・「お客様が待っています」の場合は、「お」+「待ち」+「です」=お待ちです
・「社長が呼んでいます」の場合は、「お」+「呼び」+「です」=お呼びです
・「先生は、休んでいます」の場合は、「お」+「休み」+「です」=お休みです
「もう、寝ていますか」の尊敬語は「もう、お休みですか」です。
「お+ます形+です(か)」が使えない場合もあります。
①「寝ます」「見ます」など「ます」の前が1文字の動詞には使えません。
・「お寝です(か)」×
・「お見です(か)」×
・「お着です(か)」×
② 「~ています」が全て「お+ます形+です(か)」になるわけではありません。
「お+ます形+です(か)」を「お~~でいらっしゃいます」にすると、もっと丁寧な言い方にもなります。(⑤「○○先生は、お休みでいらっしゃいますか」)
・在留カードはお持ちですか ➡ 在留カードはお持ちでいらっしゃいますか。
④「もう、お休みになりましたか」の作り方
「もう、お休みになりましたか」には、「お+ます形+になる」の形を使っています。「お+ます形+になる」の形は、敬意の高い表現です。お客様を接待したり、取引先の方に会ったりしたときなどに使えたらいいですね。
作り方は「お+ます形+になります(か)」の形にすればいいです。
・「(お客様)待ちますか」の場合は、「お」+「待ち」+「になりますか」=お待ちになりますか
・「先生が書きました」の場合は、「お」+「書き」+「になりました」=お書きになりました
・「もう、読みましたか」の場合は、「お」+「読み」+「になりました」=お読みになりましたか
「お+ます形+になります(か)」の形が使えない場合があります。
①「ます」の前が1文字の動詞には使えません。
「寝ます」「見ます」「着ます」など
・「お寝になります(か)」× → お休みになる
・「お見になります(か)」× → ご覧になる
・「お着になります(か)」× → お召しになる
■③グループ動詞は、「ご(お)」+「漢字2文字」+「なさいます(か)」の形にします。
・ご契約なさいます
・ご登録なさいます
・ご確認なさいましたか
・お電話なさいましたか
※「ご/お」がなくても、敬意のある表現です。
■特別尊敬語はそのままの形で使えばいいです。
まとめ
「もう、寝ていますでしょうか」の5つの言い方をご紹介しました。
①尊敬語動詞「寝られる」➡「もう、寝られましたか」
②「休む」の尊敬語動詞「休まれる」➡「もう、休まれましたか」
③「休んでいる」(~ている)の敬語「お+ます形+です(か)」➡「もう、お休みですか」
④「休む」の「お+ます形+になります(か)」➡「もう、お休みになりましたか」
⑤「休む」の「お~~でいらっしゃいます(か)」➡「もう、お休みでいらっしゃいますか」
頭で理解すれば、口からスルスル尊敬語が出てくればいいんですが…そうはいきませんよね。
これも「慣れ」なのではないかと思っています。たくさん会話に接して、「体でドンドン覚える」が一番だと思います。
以前、コールセンターでオペレーターの仕事をしたことがあります。入社初期に、同僚同士で
「この敬語、おかしくない??」と聞き合ったことを覚えています。使い慣れないときは、間違うこともありますが、使い慣れていきます。
敬語が正しくても、気持ちがこもっていなければ、敬語にはなりません。反対に、少し間違っても、気持ちのこもった言葉は、嬉しいものです。私はそうです。
うまくご紹介できていない部分もあると思いますが、みなさんのSkliiupのお役に立てば幸いです。