「大丈夫」という言葉は日本語でよく使う言葉ですが、複数の意味を持っています。みなさんは、どんなときに「大丈夫」を使っていますか。私は日常生活で、何かに困っていたり、危ない状況にいたりする人に「大丈夫ですか」といって大事がないかを確認するときに使います。それから、心配なことがあったり、不安なことがある人に「大丈夫ですよ」と言ったりします。
日本語の教科書では、「大丈夫」をどれぐらいの段階で習うのかが気になって調べてみました。「みんなの日本語」では、初級1の17課で「大丈夫」が例文で出てきました。「できる日本語」では、初級の12課で出てきました。教材は違っても、同じ意味での「大丈夫」を紹介していました。
「大丈夫」はビジネスの場でも多く使われている言葉です。最近は今までにはない変な「大丈夫」の使い方が広まっています。それで今日は、みなさんと一緒に大丈夫の使い方を再確認したいと思います。
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日本語の「大丈夫」の意味
だい‐じょうぶ【大丈夫】
明鏡国語辞典に「大丈夫」
㈠ 〘形動〙
❶ 丈夫で、しっかりしているさま。 「━か、しっかりしろ」
❷ 危なげがなく安心できるさま。問題ないと保証できるさま。確か。
「あの人に任せておけば━だ」
「資金は━か」
「あんなこと言っても━ですか」
❸ 〔俗〕相手の勧誘などを遠回しに拒否する語。結構。
「『砂糖は、二個?』『いえ、━です』」
㈡
〘副〙 まちがいなく。たしかに。
「━、合格するよ」
「━、まだ間に合う」
大丈夫は、形容詞・副詞として広く使われています。今日は「な形容詞」の大丈夫の意味を深掘りして整理してみようと思います。
初級で学ぶ「大丈夫」の意味
初級で習う大丈夫は、❷ 「危なげがなく安心できるさま」 の意味の大丈夫です。
A: 一人で大丈夫ですか?
B: タクシーで帰るので、大丈夫です。
A: どうしたんですか?
B: 歯が痛いんです。
A: 大丈夫ですか?
Aさんは、危なくないか、大事はないかを尋ねています。Bさんは、危なくない、大事はないと答えています。
「大丈夫よ / 大丈夫ですよ」と言ったことがありますか?「心配ないよ」「大事なことはないよ」という意味でつかいます。日常生活でよく使いますよね。私は最近、面接に行く学生が緊張していたので「大丈夫よ」と声をかけました。
慰める、安心させる言葉に「これで、もう大丈夫です」があります。「これで、もう安心よ、心配ないよ」「これで、もう大事なことはないよ」という意味で使います。
ビジネスで使う「大丈夫」の意味
職場でどんな意味の「大丈夫」を使っていますか?
ビジネスでは「問題ないと保証できるさま」の意味で使ことが多いです。
例えば…、「資料は、100部で大丈夫ですか?」「次回の会議は、10時からで大丈夫ですか」「来月から担当が代わりますが大丈夫ですか」
どうでしょうか?みなさんもこんな感じで、大丈夫をつかっていませんか。もちろん、「大丈夫」を「問題ない」に言い換えることもできます。
「資料は、100部で問題ありませんか?」「次回の会議は、問題ありませんか?」「来月から担当が代わりますが、問題ありませんか?」
この場合、心配や危険、問題があることが考えられるので、「大丈夫ですか」「問題ありませんか」を使うことができます。
明確に表現する場合は、「問題ない」を使った方がいいでしょう。
断りの意味の「大丈夫」
相手の勧めを断るのが苦手な人が多いと思います。ささいなことでも、何かを断るのは気をつかうものですよね。
断る表現に「結構です」「いいです」がありますが、「大丈夫です」も断りの表現として広く使われています。相手の勧めたものに対して、「いりません/ 不要です」とはっきり断らずに「大丈夫です」と遠回しに断る表現です。断りの表現として「結構です / いいです」よりも、広く使われています。
私も断り方が上手ではありませんが、断った後に「ありがとうございます」や断った理由を簡単に付け加えるといいと、いい印象を残すことができると思います。
例えば、
A: もう一杯どうですか。
B: 大丈夫です。あまり飲めないんです / ありがとうございます。
A: 持ちましょうか?
B: 大丈夫です。ありがとうございます。
関連記事:ビジネス会話「結構です/いいです」の2つの意味
承認の意味の「大丈夫」
「大丈夫ですか」「問題ないですか」と尋ねられたことに対して、承認する場合「大丈夫です」と使うことができます。他の表現に「どうぞ」「いいですよ」などの表現もあります。

客 :試着しても大丈夫ですか?
店員:はい、大丈夫です。
[補説]近年、形容動詞の「大丈夫」を、必要または不要、可または不可、諾または否の意で相手に問いかける、あるいは答える用法が増えている。「重そうですね、持ちましょうか」「いえ、大丈夫です(不要の意)」、「試着したいのですが大丈夫ですか」「はい、大丈夫です(可能、または承諾の意)」など。
明鏡国語辞典に「大丈夫」
最近の変な「大丈夫」の使い方
「大丈夫」は、聞かない日はないと言っていいほどの使用頻度です!!ドンドン拡張されていて、日本人の私でも、よくわからない大丈夫の波に巻き込まれています。
飲食店で店員さんがよく使う言葉があります。
・「コーヒーは、食後で大丈夫ですか」
・「お席は、カウンター席で大丈夫ですか」
・「ご会計は、ご一緒で大丈夫ですか」
・「お料理をお運びしても、大丈夫ですか」
大丈夫の意味を「問題ありませんか」の意味で使っていると思いますが、「大丈夫ですか / 問題ありませんか」は、心配や危険、問題があることが考えられる場合に使います。
たんに確認する場合は、
・「コーヒーは、食後でいいですか / よろしいですか」
・「お席は、カウンター席でいいですか / よろしいですか」
・「お会計は、ご一緒でいいですか / よろしいですか」
・「お料理をお運びしてもいいですか / よろしいですか」になります。
まとめ
今日は「大丈夫」の使い方4つと、最近の「新!大丈夫」を深掘りして整理してみました。なんの気なしに使っている「大丈夫」ですが、けっこう深い意味をもつ言葉でした。
しごとでは「大丈夫です (か)/ 問題ありません(か)」と「断り」「承諾」の意味で使うことが多いと思います。
最近使われだした「大丈夫」に関しては、あまりお勧めしません。言葉の意味が複雑になって良いことはない….覚えることが増えちゃいますからね。しごとの日本語は、誰でも、1回で理解できるシンプルな伝達がいいと思っています~。
今日も最後まで、ご覧頂きありがとうございました!!
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