先日、バスに乗っていたら、運転手さんがアナウンスで「ご利用してください」といっていました。
私が日本語を教える仕事をしていなかったら、間違いにも気がつかなかったと思います。そのままスルーです。
安全運転しながら、アナウンスもして、しかも正しい敬語まで使うとなると、神経がすり減ってしまいます。親切なアナウンスに十分に感謝です。
みなさんは、「ご利用してください」を使っていますか。自分がどういっているかなんて覚えていませんよね。でも、ちょっと思い出してみてください。
「ご利用してください」と「利用してください」は、「ご」の有無の違いです。他にも「ご利用ください」もあります。とても似ていて、まぎらわしいです。
今日はまぎらわしい敬語をしっかりマスターしようと思います。1つの改善が10個の改善に繋がります!!
「～てください」の3つの使い方
初級の段階では、3つの意味で「～てください」を習います。
1⃣ お願い
例）
トイレを貸してください。
道を教えてください。
2⃣ 指示
例）空港で
パスポートを見せてください。
ベルトを締めてください。
3⃣ 勧誘
例）セルフコーナー
自由に飲んでください
自由におかわりしてください。
中級からは、「ご（お）〇〇ください」と「～ていただけませんか」の表現を習います。どこで、だれに、どんな目的で使うで使い分けましょう！
「利用してください」の意味と、もっと丁寧な言い方
🔶意味：「利用してください」は、「お願い・指示・勧誘」のどの意味で使うことが多いですか。今回のバス運転手さんの場合は、指示の意味になります。
🔶丁寧な言い方：指示の「～てください」は「ご○○ください」の形にすると、もっと丁寧な言い方になります。このときに、「～して」は不要です。
「ご利用してください」✖
「ご利用ください」〇
🔶その他の例
・返却してください〇/ご返却ください〇/ご返却してください✖
・提出してください〇/ご提出ください〇/ご提出してください✖
・記入してください〇/ご記入ください〇/ご記入してください✖
・確認してください〇/ご確認ください〇/ご確認してください✖
「利用してください」の意味が勧誘の場合
「利用してください」の意味が勧誘の場合があります。公的施設の利用を勧めたり、無料のサービスを勧めたりすることがあります。このときも、指示のときと同じように「利用してください」「ご利用ください」といえばいいです。
「利用してください」の意味がお願いの場合
「利用してください」の意味がお願いの場合があります。お願いは、私の利益のためにします。
お願いの「～てください」は、「～ていただけますか/ませんか/ますでしょうか」の形にします。
「利用していただけますか/ませんか/ますでしょうか」になります。
その他の例
・変更してください →変更していただけますか〇 / ご変更ください✖
・連絡してください→連絡していただけますか〇 / ご連絡ください✖
初級で、お願い（依頼）の方法として「～てください」を習いますが、「～ていただけますか/ませんか/ますでしょうか」を使った方感じのいいお願いになります。特にお仕事での依頼表現は、「～ていただけませんか」一択です。
まとめ
今日テーマは「ご利用してください」でしたが、「ご利用してください」は正しい言い方にはなりません。「—利用してください」または「ご利用ください」の二択になります。
今日は、3グループの動詞の「します」を使ってご紹介しましたが、1グループも2グループも同じことが言えます。
作り方は、「ご（お）〇〇ください」の○○に「ます形」を入れればいいです。
例）
使ってください → お使いください（指示・勧誘）/ 使っていただけますか（お願い）
書いてください → お書きください（指示・勧誘）/ 書いていただけますか（お願い）
※使います/書きます
お使いしてください✖ / お書きしてください✖
使い慣れれば、こっちのものです！！ドンドン敬語を使って、使い慣れしましょう～。
