いつも、礼儀正しい韓国人のユンさんがメッセージを送ってきました。授業の時間変更をお願いするメッセージでした。
メッセージは「先生!授業の時間ですが、もし火曜日にしてもよろしいでしょうか」という内容でした。ちょっと違和感を感じて、もう一度、読み返しました。
「あ!これ、韓国語の表現をそのまま日本語にしたんだ!!」と気づきました。「もし」が入っていないければいいんですが、「もし」が入るとと不自然になります。
韓国語では使う表現でも日本語にすると、不自然な表現になることがあります。表現の違いって、けっこう多いですよね。
日本語の「もし」
日本では「もし」を、どんなときに使うのか、例文で見てみましょう!
1⃣ 仮定した表現
・もし雨がふったら、行くのをやめよう。
・もしよろしければ、週末いっしょに海にいきませんか。
・もしお暇なら、いっしょにドライブに行きませんか。
・もし気がつくのが1秒でも遅かったら、事故になっていた。
・もし雨でも、試合は中止になりません。
・薬で治りそうですが、もし手術になっても簡単な手術です。
※「もしも」は「もし」を強調した表現。
2⃣ 「そういうこともありえる」程度の推測
・仕事が暇になったから、もしかしたら私も旅行に行けるかも!
・もしかしたら、ジョンさんが知っているかもしれないが、はっきりしたことはまだわからない。
・もしかしたら、田中さんがデーターを保存しているんじゃないですか。
・もしかしたら、事故にでもあったんじゃないか!
3⃣「もしくは」二つのうちどちらか一方
・ボールペンもしくはサインペンで書いてください。
・お問い合わせは、お電話もしくはメールでお願いいたします。
・お申し込みは、ご本人もしくは家族の方に限り可能です。
日本語の「もし」はこんな感じで使われています。
「もし火曜日にしてもよろしいでしょうか」は、ただしい?
「もし火曜日にしてもよろしいでしょうか」は日本語の文法を基準にすると、使えない表現になります。意味として何を聞いているのか十分にわかります。韓国語では問題ない表現だと思いますが、日本語では不自然な表現になります。日本語の「もし」の仮定には「ば/たら/なら」が必要です。
ユンさんが「火曜日にしてもいい」という仮定を表現するのであれば、
「もし火曜日の都合がよろしければ」にすればいいです。
「先生!授業の時間ですが、もし火曜日の都合がよろしければ、火曜日にしてもよろしいでしょうか」〇
日本語表現の~Senseup~「同じ言葉を続けて使わない」
「もし~ば(たら/なら)」の形にして、文法的には問題のない表現になりました。ただ、「火曜日」が2回続いているので、他の表現に変えたほうがいいでしょう。
例えば「もし火曜日の都合がよろしければ、変更していただけますでしょうか」「変更可能でしょうか」にすれば、同じ言葉をつかわなくていいです。これは書き言葉でも同じです。意味の重複にも気をつけるといいでしょう。
依頼表現「~(な)んですが……」
「もし火曜日の都合がよろしければ、変更していただけますでしょうか」はお願いをしています。
ユンさんはこのお願いの前に、「先生!授業の時間ですが」と前置きの言葉を入れました。
日本語はなにかのお願いをするときに、なにに関するお願いなのかを言います。このことを「前置き」といいます。
お願いの前置きには「ですが」ではなくて「(な)んですが」が自然です。前置きの「(な)んです」と覚えておくといいでしょう。この場合、「先生!次回の授業の時間なんですが、」にすればいいでしょう。
「んです」の用法は他にもありますが、使いこなしが難しい表現です。今日は「前置き(な)んですが」だけをご紹介しました。
この前置きは他にもいろんな場面で使えます。例えば、指示・助言がほしいときなどにも使います。
・日本人の結婚式に行くんですが、何を着ていけばいいですか。
・データー処理が終わったんですが、次は何をしたらいいですか。
まとめ
今日は「先生!授業の時間ですが、もし火曜日にしてもよろしいでしょうか」の「もし」の改善を試みました。
結果として、「先生!次回の授業なんですが、もし火曜日の都合がよろしければ、変更していただけないでしょうか」に改善しました。ちょっと長くなりましたね。長いときは、表現を短くするなどの工夫をしてください。「先生!次回の授業なんですが、先生の都合がよろしければ、火曜日に変更できますか」にすると、少し短くなりました。丁寧さ好感度を考えながら、アレンジしてみてはどうでしょうか。
母語をそのまま日本語にした場合、その直訳が日本語としても正しい場合と、そうでない場合があります。本当に難しいですよね。この問題を解決する方法をご存じの方はご連絡いただけませんか。
よろしくお願いします!