「~なら(ば)」の文型を学習した人は多いと思います。「~ならば」と使うこともありますが、普通「~なら」の方を多く使うと思います。「~なら」は、会話で使います。チャット以外の書き言葉で使うことは、ほぼないと言っていいでしょう。
みなさんは、この「~なら」を使いながら、この言い方でいいのかな?と不安に思ったことがありませんか?
「~なら」は、キャジュアルないい方なので、身近な友達や知り合いに使う分にはまったく問題ありません。ただ、お客様やビジネスの相手、先生に使う表現としては、適切とは言えないでしょう。
ビジネス日本語の授業をしていて、「~なら」を適切な形に言い換えた人は、10人中1人ぐらいでした。教科書に書いてあることもありますが、書いていないことの方が多いと思います。
それで、今日は「~なら」の丁寧な言い方をご紹介しようと思います。
「~なら」の丁寧な言い方
「~なら」は、①会話のなかで相手の言ったことや、②これまでの話題にあがっていたこと、あるいは③その場の状況から想像できることを話題として取り立てる場合に使う表現です。
例えば、AさんとBさんが会話をしていて、Aさんが「おいしいお寿司屋さんを知りませんか?」と「お寿司屋」を話題にあげて、Bさんが「お寿司屋なら、駅前の○○寿司がおいしいですよ」のように「お寿司屋」を取り立てていいます。このような会話は皆さんもしたことがあると思います。
ただ、ここでちょっと考えてみてください。この会話のAさんがホテルを利用するお客の立場で、Bさんがホテルの従業員だった場合、この会話で問題ないでしょうか?
丁寧な会話が求められる場合は、この「~なら」を「~でしたら」にかえれば、お客様にも上司、先生にも、いい感じの丁寧さを出せます。「お寿司屋でしたら、駅前の○○寿司がおいしいですよ」といえば好感度がグッとUPします。
「お寿司屋でしたら、駅前の○○寿司をお勧めいたします」「お寿司屋でしたら、駅前の○○寿司が人気がございます」などに、アレンジしてもいいでしょう。
もう少し、例文をご紹介します。
✔「お手洗いはどこですか」/「お手洗いなら、あそこです」→「お手洗いでしらた、あちらです」
✔「〇〇の開発の件ですが…」/「その件のことなら、田中さんにきいています」「その件のことでしたら、田中さんにきいています」「その件のことでしたら、田中さんにきいております」
まとめ
今日は「~なら」の丁寧な言い方をご紹介しました。どれぐらいの丁寧さにするかは自由です。決まりはありません。丁寧さは、高ければいいというわけではありません。相手が負担にならない丁寧さが大切です。あまりにも丁寧だと、関係も深まりにくく、いつまでもよそよそしい関係のままになってしまいます。難しいところですが、いい関係づくりを楽しんでください。みなさんのしごとの日本語レベルUP応援しています~。
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