日本語では、理由を言うときに「から」や「(な)ので」をよく使います。「から」や「ので」の他にも「~し」を使って理由をいうことができます。よく使う日本語ですね。
日本語学習者と話をすると、よく「~し」を使っています。どんな意味で「~し」を使うのかをしっかり理解できているようです。
ただ、「~し」につなぐ活用が間違っていることが多いです。それから、丁寧ないい方があることを知らないようです。
それで、今回は、
①「~し」の3つの使い方
②「〜し」フォーマルスタイル
③「~し」のよくある間違い
についてお話をします。この機会に「~し」のskillupをしましょう!
「~し」は、どんなときに使う?
「~し」は、こんなときに使います。
✅ 2つ以上の理由を言うとき
✅「そして」の意味で使うとき
✅「それに」の意味で使うとき
2つ以上の理由を言うとき
「から」「ので」は理由が1つのときに使いますが、「~し」は理由が2つ以上あるときに使います。
📝理由が1つのとき
例)
「そろそろ時間だから、帰ろうよ。」理由が1つです。
📝理由が2つ以上あるとき
⑴「~し」
例)
・「そろそろ時間だし、帰ろうよ。」
「時間」の他にも「お腹がへった」「疲れた」などの理由が含まれた言い方
・「週末だし、どっか行かない。」
「週末」の他にも「天気がいい」「予定がない」などの理由が含まれた言い方
⑵「~し~し」
例)
・「そろそろ時間だし、お腹もへったし、帰ろうよ。」
・「週末だし、天気もいいし、どっか行かない。」
※このときは、2つ目の理由の名詞につく「が」が「も」になります。
⑶「~し~から 」
例)
・「夜は暗いし、危ないから公園に行ったらだめよ。」
・「このかばんは、色も いいし、軽いから、いいと思いますよ。」
・「速度も速いし、使いやすいので、やっぱりiPhone買います。」
※「速度」「色」につく「が」が「も」になります。」
「そして」の意味で使う「~し」
「AそしてB」は、関連するAとBを並べて、つなげる接続詞です。この意味の「そして」を「~し」にできます。
「あの店は安い。そして、おいしい。」は、「 あの店は安いし、おいしい。」と同じ意味です。
お店に関連することを、並べて使うことができます。
例)
・このアパートは静かだ。そして、広い。
→このアパートは、静かだし、広い。
・この仕事は楽しい。そして、やりがいもある。
→この仕事は、楽しいし、やりがいもある。
・今回の旅行は温泉に行く。そして、海も行く。
→今回の旅行は、温泉にも行くし、海にも行く。
※「温泉」「海」につく「に」は「に+も」になります。
✍🏻「そして」の意味の「~し」は、名詞・ナ形容詞「で」と、イ形容詞「~くて」に言いかえることができます。
・「このアパートは、静かだし広い」=「このアパートは、静かで広い」
・「この仕事は、楽しいしやりがいもある」=「この仕事は、楽しくてやりがいもある」
⚠️時系列を表す「そして」の意味で、「~し」は使いません。
時系列「そして」は「て形」をつかいます。
→ 今回の旅行は、温泉に行って、そして、海に行く。
「それに」の意味で使う「~し、それに」
「AそれにB」は、AにBを加える接続詞です。この意味の「それに」を「~し、それに」にできます。
「今日は雨だ。それに、風も強い。」は、「今日は雨だし、それに風も強い。」と同じ意味です。
「雨」に「風も強い」を加えた言い方です。
例)
・この会社は給料が上がらない。それに、休みも少ない。
→この会社は給料も上がらないし、それに休みも少ない。
※「給料」につく「が」が「も」になります。
・この仕事に興味がない。それに、自信もない。
→この仕事に興味もないし、それに自信もない。
※「興味」につく「が」が「も」になります。
「~し」casual /formal style
「~し」には、カジュアルな言い方、フォーマルな言い方があります。友達や、家族には、カジュアルな言い方でいいですが、お客様や上司、目上の人には失礼になってしまいます。
「~し」の丁寧な言い方はに簡単です。ただ、けっこう知られていません。先に、紹介した例文は、すべて「普通形+し」になっていますが、ここを「です/ます形+し」にすれば、UP完了です!(^^)!

名詞・ナ形容詞、イ形容詞、動詞に分けて例文をみてみましょう。
名詞・ナ形容詞「~ですし」
・そろそろ時間だし、帰ろうよ。
→そろそろ時間ですし、帰りませんか。
・今日は雨だし、風も強い。
→今日は雨ですし、風も強いです。
・雨も降りそうだし、帰りませんか。
→雨も降りそうですし、帰りませんか。
・このアパートは静かだし、広いです。
→・このアパートは静かですし、広いです。
・今日は給料日だし、お寿司でもたべませんか。
→今日は給料日ですし、お寿司でもたべませんか。
イ形容詞「~ですし」
・あの店は安いし、おいしい。
→あの店は安いですし、おいしいです。
・夜は暗いし、危ないから公園に行ったらだめよ。
→夜は暗いですし、危ないので、公園に行かないでください。
・この仕事は楽しいし、やりがいもある。
→この仕事は楽しいですし、やりがいもあります。
・速度も速いし、使いやすいので、やっぱりiPhone買います。
→速度も速いですし、使いやすいので、やっぱりiPhone買います
※丁寧な言い方をするときは、「から」を「ので」にしましょう。
動詞「~ますし」
・お腹もへったし、そろそろ会社に戻ろう。
→お腹もへりましたし、そろそろ会社に戻りませんか。
・今回の旅行は、温泉にも行くし、海にも行く。
→今回の旅行は温泉にも行きますし、海にも行きます。
・この会社は給料も上がらないし、休みも少ない。
→この会社は給料も上がりませんし、休みも少ないです。
・この仕事に興味もないし、自信もない。
→この仕事に興味もありませんし、自信もありません。
「~し」の間違った使い方
カジュアルな会話の中で、あるあるの『「〜し」の繋ぎの間違い』を紹介します。本当におススメのSkillupです!
たくさんの人が、イ形容詞に、「だ」をつけています。例えば、「安いだし」「高いだし」「いいだし」「安いじゃないだし」のように使っています。
「〜し」以外でも、「安いだと思います」「高いだと思います」「いいだと思います」のような使いかたになってしまっています。
あ!動詞に「だ」をつける人もいました。「だ」は名詞とナ形容詞につきま~す!例文をたくさんUPしたので、「だ」がある、ないを確認しながら勉強してください。
✅普通形(ふつうけい)の活用(かつよう)+「し」
名詞・ナ形容詞 | イ形容詞 | 動詞 |
---|---|---|
だし | 辞書形し | 辞書形し |
じゃないし | くないし | ないし |
だったし | かったし | たし |
じゃなかったし | くなかったし | なかったし |
✅丁寧形(ていねいけい)の活用(かつよう)+「し」
名詞・ナ形容詞 | イ形容詞 | 動詞 |
---|---|---|
ですし | ですし | ますし |
じゃありませんし | くありませんし くないですし | ませんし |
でしたし | かったですし | ましたし |
じゃありませんでしたし | くありませんでしたし くなかったですし | ませんでしたし |
まとめ
「~し」は、幅広くつかえて、とても便利な日本語です。
- 理由が2つ以上あるとき:「時間だし、お腹もすいたし」
- 「そして」のようにつなげるとき:「静かだし、広い」
- 「それに」のように言いたいとき:「雨だし、それに風も強い」
「ですし」「ますし」にして使うと、もっとたくさんの場所で使えます。仕事でもよく使われる表現なので、例文をまねして使ってみてください。
(●’◡’●)「ていねいな言い方シリーズ」(●’◡’●)にご興味がおありの方は、
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