日本語がだんだん聞きとれて、話せるようになると、言葉の前につく「お」をつけることが多くなります。これは、初級から中級にレベルがアップしている証拠です。ですが、「お」を使って会話をしたり、メールを書いたりしながら、不安な気持ちになることはありませんか。
「お」は、主に敬語(けいご)に使います。今回は、敬語の中の「尊敬語(そんけいご)」の「お」に絞って丁寧に説明します。謙譲語(けんじょうご)と美化語(びかご)の「お」は続編でご案内します。
ぜひ、中上級へのステップアップに、お役立ててください。
尊敬語(そんけいご)を誰に使う?どうして使う?
尊敬語(そんけいご)は敬語の中の一つです。敬語には、尊敬語のほかに、謙譲語(けんじょうご)、丁寧語(ていねいご)、美化語(びかご)があります。
「お」は尊敬語の意味で使うときもあるし、謙譲語、美化語の意味で使うときもあります。同じ「お」で意味が違うわけです。
尊敬語は、お客様や上司、目上の人などに使います。その相手に関することや物、する行動に使います。尊敬語を使うことで、尊重(そんちょう)する気持ちが伝わり、失礼がないコミュニケーションをすることができます。
例えば、ホテルのフロントで、お客様に名前を書いてもらうとしましょう。このときに「ここに、名前をお願いします」と言うより、「こちらに、お名前をお願いします」と言った方が、丁寧さがもっとUPします。

「お+名詞」のパターン
まず、名詞につく「お」からみていきましょう。
▪「住い」という名詞があります。意味は、「住んでいるところ(場所)」と言う意味で、家と同じ意味です。相手に関することを聞くので尊敬語にします。
住いは、どこですか。
→お住いは、どこ(どちら)ですか。
▪年も相手に関することを聞くので尊敬語にします。
年は、いくつですか。
→お年はおいくつですか。
▪荷物は相手の物なので尊敬語にします。
荷物をあずかります。
→お荷物をあずかります。
「お+名詞」で相手に尊重する気持ちが伝わって、失礼がない言い方になりました!
「お+イ形容詞」のパターン
イ形容詞にも「お」をつけて尊敬語にすることができます。
▪まる先生は忙しいです。
→まる先生はお忙しいです
▪若いとき、よく運動をしましたか。
→お若いとき、よく運動をしましたか。
▪優しいお母さんですね。
→お優しいお母様ですね。
「忙しい」「若い」「優しい」は、相手に関することですね。
「ナ形容詞」のパターン
ナ形容詞にも「お」をつけて尊敬語にすることができます。
▪元気ですか。
→お元気ですか。
▪ミラーさんは日本食が好きです。
→ミラーさんは日本食がお好きです。
▪明日は暇ですか。
→明日はお暇ですか。
「元気」「好き」「暇」も、相手に関することですね。
「お+動詞」決まった形の3パターン
相手のする行動に「お」をつけることで、尊敬の意味をもつようになります。
動詞に「お」をつける場合は、決まった形を使います。よく使う3つの形を紹介します。
① 「お+ます形+になります」
「~ます」を「お+ます形+になります」にして、尊敬語にします。
動詞のⅠグループ・Ⅱグループに使えます。
Ⅲグループ動詞は基本的に「ご」を使いますが、一部「お」がつく漢語(お電話・お掃除など)にも使えます。

・先生が話します。
→先生がお話しになります。※ はなしますの「はなし」がます形
・社長が書きました。※ かきますの「かき」がます形
→先生がお書きになりました。
・どこで読みましたか。※ よみますの「よみ」がます形
→どこ(どちら)でお読みになりましたか。
.................................................
② お+ます形+ください
「~てください」を丁寧にした形です。相手に丁寧に案内や指示をするときに使います。
・部屋のWIFIを使ってください。※使いますの「使い」がます形
→お部屋のWIFIをお使いください。
・ゴミはゴミ箱に捨ててください。※捨てますの「捨て」がます形
→ゴミはゴミ箱にお捨てください。
・ここにお金を入れてください。※入れますの「入れ」がます形
→ここにお金をお入れください。
・楽しんでください。※楽しみますの「楽しみ」がます形
→お楽しみください。
.................................................
③ お+ます形+です
「~ています」を丁寧にした形です。ただ、「~ています」の全てに使うわけではありません。
・何を読んでいますか。
→何をお読みですか。
・どこのホテルに泊まっていますか。
→どちらのホテルにお泊りですか。
・お客様が待っています。
→お客様がお待ちです。
・今、パスポートを持っていますか。
→今、パスポートをお持ちですか。
動詞の敬語「よくある間違い」
動詞の敬語を使うときの「よくある間違い」を紹介します。例えば、「行きます」の場合に「お行きになります」とすることがあります。
この場合、「行きます」には「特別な尊敬語」の「いらっしゃる」があるので、「特別な尊敬語」の「いらっしゃる」を使います。「お行きになります」は使いません。
「見ます」も「お見になります」と使わずに、「特別な尊敬語」の「ご覧になります」を使いましょう。
📝 学習チェック
中級学習者向けに、「尊敬語の『お』」の使い方を復習できる練習問題を用意しました。印刷して使うこともできます。
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練習問題(答えなし)を見る -
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練習問題(答え付き)を見る -
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Word版 練習問題(答えなし)をダウンロード -
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Word版 練習問題(答え付き)をダウンロード
まとめ
今回は尊敬語の「お」について勉強しました。「お」はつけ方も、意味もいろいろあって複雑ですが、まだ自信がない方は、練習問題をしてみてください。それから、日本でショッピングなどをするときに、たくさん尊敬語を聞いて慣れていってください。体で覚えるが、一番いい方法です!!
今回の続編「謙譲語の「お」」「美化語の「お」」も直ぐにUPしますので、合わせて参考にしてください。それでは、また一緒にべんきょうしましょう~。
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