日本語を勉強している皆さんは、**敬語(けいご)で使う「お」と「ご」**の使い分けに迷ったことはありませんか?
どちらも相手(目上やお客様)への敬意(けいい)を表したり、言葉を美化する役割(やくわり)があります。
前の記事で学んだように、「お」は主に和語(わご)(訓読(くんよみ)の言葉)につきました。
今回のテーマ**尊敬語の「ご」は、主に漢語(かんご)**(音読(おんよみ)の言葉)について、相手の動作(どうさ)や状態(じょうたい)を高めるます。
「ご」は敬語表現の中でも特に混乱しやすい言葉です。この記事では、「ご」の意味と使い方を尊敬語の立場からわかりやすく整理します。
この「ご」の使い方をマスターして、中級からビジネスレベルへスキルアップしましょう!

「ご」の使い方の基本ルール:相手を立てる言葉
尊敬語の**「ご」は、相手(目上・お客様)の動作、状態、所有物(しょゆうぶつ)を高める役割をします。
最も基本的(きほんてき)なルールは、次の通りです。
| 接頭辞 | 対象となる言葉 | 尊敬語の例 |
| ご | 漢語(かんご) | ご連絡(ごれんらく) ご説明(ごせつめい) ご住所(ごじゅうしょ) |
| お | 和語(わご) | お年(おとし) お国(おくに) お名前(おなまえ) |
動詞:相手の動作を高める「ご〜なさいます/になります」
**「ご〜になる」**は、相手(尊敬の対象)の動作を最もシンプルに高める尊敬語の形です。
📌3グループ動詞(どうし)の漢語2字に「ご」をつけて、**「〜なさいます/になります」**を接続(せつぞく)します。
💬 例文:国民保険にご加入なさいましたか?
🪄 意味:「国民保険に加入しましたか?」の丁寧な言い方です。
📘 ポイント:「~します」の代わりに「ご漢語2字+なさいます/になります」を使うと、ビジネス日本語としてもOK!

| 漢語動詞 | 尊敬語の形 | 例文 |
| 連絡 (れんらく) | ご連絡 なさいます/になります | (パスポートをなくした人に) 警察に、ご連絡なさいましたか/になりましたか? |
| 加入 (かにゅう) | ご加入 なさいます/になります | (市役所で) 国民保険に、ご加入なさいましたか/になりましたか? |
| 登録 (とうろく) | 登録 なさいます/になります | (宣伝) ご登録なさった/になった客様に100ポイント贈呈 |
「ご〜ください」
「ご〜ください」は、相手に何かを指示したり、勧めたりするときに使います。非常に丁寧な表現です。ビジネスシーンでは特によく使われます。書き言葉としても、よく使われます。「~てください」を尊敬語した形が「ご〜ください」です。
💬 例文:シートベルトをご着用ください。
🪄 意味:「シートベルトを着用してください」の丁寧な言い方です。
📘 ポイント:「~てください」の代わりに「ご〜ください」を使うと、ビジネス日本語としてもOK!

| 漢語 | 尊敬語 | 例文 |
|---|---|---|
| 記入(きにゅう) | ご記入ください | この書類(しょるい)に、お名前をご記入ください。 |
| 検討(けんとう) | ご検討ください | 資料(しりょう)をお送りしました。ご検討ください。 |
| 確認(かくにん) | ご確認ください | 間違(まちが)いがないか、ご確認ください。 |
相手の物・状態を高める名詞とナ形容詞
「ご」は、相手側の物(もの)や状態を表す名詞(めいし)や、ナ形容詞にも接続します。これも相手への敬意や配慮(はいりょ)を示す大切な使い方です。
1. 名詞(相手の所有物・状態)
相手側の所有物や個人的(こじんてき)な状態を表す漢語の名詞につきます。
ご家族(ごかぞく) / ご住所(ごじゅうしょ) / ご氏名(ごしめい) / ご予定(ごよてい) /
ご意見(ごいけん) / ご病気(ごびょうき)…
- 例:「ご家族は、お元気(げんき)ですか。」
- 例:「こちらにご住所をご記入ください。」
2. ナ形容詞(相手の状態)
相手の性質(せいしつ)や気持ちを表す漢語のナ形容詞につきます。
ご丁寧(ごていねい) / ご親切(ごしんせつ) / ご立派(ごりっぱ) / ご満足(ごまんぞく) / ご心配(ごしんぱい)
- 例:「いつもご丁寧な対応(たいおう)、ありがとうございます。」
- 例:「サービスは、ご満足いただけましたでしょうか。」
⚠️ 例外(れいがい):「お」がつく漢語
「ご」のルールは原則として漢語につくことですが、例外(れいがい)があります。
1. 「お」がつく例外の漢語
前回の記事でも紹介しましたが、日常的(にちじょうてき)によく使われる漢語の一部は、**「ご」ではなく「お」**がつきます。
| 間違い | 「お」がつく漢語 | 意味 |
|---|---|---|
| × ご時間 | ○ お時間(おじかん) | Time |
| × ご電話 | ○ お電話(おでんわ) | Phone call |
| × ご食事 | ○ お食事(おしょくじ) | Meal |
尊敬語(そんけいご)と、謙譲語(けんじょうご)の「ご」の区別
「ご」は、尊敬語と謙譲語の両方で使われますが、「ご」が接続する形が違います。
| 敬語の種類 | 形 | 主語 | 意味 |
|---|---|---|---|
| 尊敬語 | ・ご〜なさいます/になります ・〜ください | 相手 | 相手の行動を高める |
| 謙譲語 | ・ご〜します/ご〜いたします | 自分 | 自分の行動を下げて相手を立てる |
【要注意】自分の動作に、尊敬語の「ご〜なさいます/になります」を使うと、自分が自分を尊敬する表現になります。自分には、尊敬語をつかったり、相手に謙譲語を使ったりしないように気をつけましょう!
練習問題:尊敬語の「ご」を使ってみよう!
問題1 赤太文字の日本語を尊敬語にしましょう。
① お忙しいところ恐れ入りますが、こちらの書類に署名してください。
② ご不明な点がございましたら、ご遠慮なく質問してください。
③ 先生は、いつ帰宅しますか?
※署名(しょめい)/質問(しつもん)/帰宅(きたく)
問題2 次の文の中で、「ご」の使い方が間違っているものは、どれですか?
① 先生のご意見を伺いたいです。
② 部長は毎日、ご散歩になります。
③ ご不明な点がございましたら、ご連絡ください。
※意見(いけん)/散歩(さんぽ)/連絡(れんらく)
問題1
① ご署名ください。
② ご質問ください。/ご質問なさってください。
③ ご帰宅なさいますか?/ご帰宅になりますか?
問題2 ご散歩
まとめ:今回の学習ポイントと次のステップ
今回は、尊敬語で使う**「ご」**の使い方を学びました。
✅ 「ご」は主に漢語(かんご)につく。
✅ 「ご〜なさいます/になります」は、相手の動作を高める。
✅ 「ご〜ください」は、「~てください」の敬語。相手に丁寧に指示したり、勧めたりするときに使う。
✅ 名詞や、ナ形容詞にも「ご」をつける場合がある。
✅ 謙譲語(ご〜します/いたします)と間違えないように注意する。
今回の勉強はどうでしたか?尊敬語の「ご」の使い方の理解は深まりましたか?
次は謙譲語の「ご」(ご〜します/いたします)を学びです。自分の動作をへりくだる表現を習得しましょう~~!(^^)!
🌸🌸関連記事🌸🌸
【n3~】『ご』はどんな言葉につく?和語・漢語の違いを深掘り解説┃ビジネス日本語学習者にオススメ!「ご」シリーズ①


コメント