日本企業の就職説明会に参加した学生からメッセージがきました。

「説明会に参加させていただき、ありがとうございます。」という言い方は、
間違っているのでしょうか?
ビジネス日本語の定番「~させていただく」に関する質問は、『上級者の質問BSTE 3』に入ります。本当によく質問を受けます。
「説明会に参加させていただき、ありがとうございます」は、一つのフレーズのようにして、普通に使われています。それで「間違っているのでしょうか?」と聞かれると、なんとも答えづらいです。
それで今日は、本来の原則からの「~させていただく」の使い方と、最近の傾向をご紹介します。
言葉の使い方は、いつも変化している
言葉の使い方は、いつも変化しています。「~させていただく」の使い方も変化しています。完全に変化してしまえば、使い方に迷うことはないと思います。変化している過程のときは、使い方が曖昧で迷てしまいます。
この変化は、元に戻るときもあります。たとえば、みなさんがよく使う「ぜんぜん」がこのケースです。
「ぜんぜん」は、否定形の「ない」といっしょに使って「ぜんぜん~~ない」で使うと教科書に書いてあります。
でも、最近は「ぜんぜん、大丈夫。」といった日本語が使われています。これは、元も戻った例です。
「ぜんぜん、大丈夫。」→「ぜんぜん、大丈夫じゃない。」→「ぜんぜん、大丈夫。」
「~させていただく」の使い方には、日本人も正しい使い方に迷いがあります。ただ、若い人は、最近の「~させていただく」の使い方に慣れているのではないでしょうか。
事実、新しい言い方や言葉は、若者が作っていると言っていいと思います。
「~させていただく」の使い方
最近の「~させていただく」の使い方
今回の質問の「説明会に参加させていただき、ありがとうございます」は、最近一つのフレーズのようにして普通に使われています。
「~させていただく」を使わないで、お礼を言うのであれば「説明会参加の機会を頂き、ありがとうございます」にすればいいでしょう。「面接の機会を頂き、ありがとうございました」などにもアレンジできます。
最近の「~させていただく」は、「~します/いたします」の意味で使っています。本来「~します/いたします」といっていた場面で、「させていただく」を使う人が増えています。
たとえば、「ご案内いたします」を、「ご案内させていただきます」という人が増えています。
謙譲語の「いたします」に「感謝の気持ち」をさらにプラスしたのが、最近の「~させていただく」の使い方です。
「させていただく」の本来の使い方
「させていただく」は、相手の「許可(きょか)/Permission/허가」と「恩恵(おんい)/Benefit/은혜」が含まれないと使えません。
・「許可(きょか)/Permission/허가」
・「恩恵(おんい)/Benefit/은혜」
📌「相手の許可」があって、「自分が利益を得る」場合に使うというのが基準です。
では、企業訪問したときの「説明会に参加させていただき、ありがとうございます」の「参加させて」をもう一度考えてみましょう!!
この場合、参加者が説明会に参加することで「自分に利益があった」という点で、恩恵が含まれています。
では、「許可」の点ではどうでしょうか。説明会参加が「許可」を得た場でしょうか。
「許可」を得た場だと思う人もいるし、「許可をもらう、許可を出す」という意味からは外れると考える人もいます。
このような見方の違いから、「させていただく」の使い方が難しいのだと思います。

最近の使い方は、恩恵に対する感謝の気持ちをアピールさせた表現として変化したものだと思います。
ビジネス日本語「いたします」V「~させていただく」

❖「ご案内いたします」も「ご案内させていただきます」も、よく聞く日本語です。本来の使い方の観点から見れば、「ご案内いたします」でいいです。
✅この場合「許可」に関する行為がありません。
ベルボーイ:私が案内してもいいですか? → 許可をもらう
客 :いいですよ。→ 許可を出す
「いたします」は謙譲語(けんじょうご)なので、十分に敬意がこもった日本語です。
この他にも、

❖「12/28から1/4まで、お休みさせていただきます」などの表現があります。この場合も、本来の使い方の観点から見れば、「お休みいたします」でいいです。
✅この場合「許可」に関する行為がありません。
店:休んでももいいですか? → 許可をもらう
客:いいですよ。→ 許可を出す
感謝の気持ちを表そうとして、ドンドン拡張した表現になっていったのでしょう。その結果「させていただく」になったのだと思います。
「させていただく」~練習問題~

次の「させていただく」は正しいですか。○、×で答えてください。
3)「すみません、コピーさせていただけますか」
4)「それではいまから、研究発表をさせていただきます」
5)「私は新郎と同じクラスで勉強させていただいた者です」
まとめ
今日は、本来の原則からの「~させていただく」の使い方と、最近の傾向をご紹介しました。迷ったときは、「相手の許可」があって、「自分が利益を得る」場合に使うを基準にすればいいでしょう。
言葉も使い方も変化しているので、「これが正解です!」といいづらいところがありますが、みなさん日本語Skillupに役立ててください。!(^^)!
【練習問題こたえ】
1) ①
2) ①
3)「すみません、コピーさせていただけますか」〇
4)「それではいまから、研究発表をさせていただきます」✖ →「いたします」〇
5)「私は新郎と同じクラスで勉強させていただいた者です」✖ →「いたしました」〇
参考動画:文化庁敬語おもしろ相談室3/7(2:30秒のところから見てください)
参考書籍:菊池康人著 敬語再入門 P「させていただくの過剰使用」

