日本語を勉強していると、文法や漢字に目がいきがちですが、実は「発音のリズム(拍)」もとても大切です。 特に、「っ(小さいつ)」「ん」「う/ー(長音)」は、正しく使わないと、意味がまったく違って伝わってしまうこともあります。 この記事では、外国人学習者が見落としがちな「拍」について、例文やエピソードを交えてわかりやすく説明します。
拍(はく)とは?
日本語では、音のリズムの単位を「拍(はく)」といいます。 たとえば、「パン」は「パ・ン」で2拍、「ケーキ」は「ケ・ー・キ」で3拍です。
ポイントは、
- 小さな「っ」
- 「ん」
- 長音※ひらがなは「う」、カタカナは「ー」の部分
これらも1拍として数えることです。
【例】
- がっこう → がっ・こ・う(3拍ではなく、4拍!)
- さんぽ → さ・ん・ぽ(3拍)
- いもうと→ い・も・う・と(4拍)
- コーヒー→ コ・ー・ヒ・ー(4拍)
家族を紹介するときに「私のいもと(✖)です。」「私のおとと(✖)です」と言っている人が多いです。「いもうと」は4拍で、「いもと」は3拍です。ことばを短く言う習慣が付くと、長く会話をすればするほど、よくわからない日本語になってしまうことがあります。
「コーヒー」や「スーパー」「ハンバーガー」のようにカタカナの中に伸ばす拍の多い言葉は、ついつい短くなってしまいます。
拍を間違えるとどうなる?リアルな誤解の例
拍の使い方を間違えると、実際の会話でこんな誤解が起こります。
【例1】
① 「あそこに行ってください」(10拍) → あ・そ・こ・に・いっ・て・く・だ・さ・い
② 「あそこにいてください」(9拍) → あ・そ・こ・に・い・て・く・だ・さ・い
▶ 「いってください」と「いてください」の意味の違いは1拍で決まります。
【例2】
①「私がしています」(9拍)→ わ・た・し・が・し・て・い・ま・す
②「私がしっています」(10拍)→ わ・た・し・が・しっ・て・い・ま・す
▶「する」と「しる(知る)」の意味の違いも1拍です。「する」のて形は、「して」で、「しる」のて形は「しって」です。この一拍がとても重要です!
拍を意識するためのトレーニング
「っ」「ん」「う/ー」は、拍の中でも「特殊拍」と言います。この特殊拍が身につくと、日本人もビックリする自然な日本語発音になります。
🔰まずは短い単語から練習してみましょう!
【初級】
- パン(2拍)
- ケーキ(3拍)
- さんぽ(3拍)
- ほん(2拍)
【中級】
- がっこう(4拍)
- てんぷら(4拍)
- おかあさん(5拍)
【上級】
- コミュニケーション(8拍)
- おねがいします(7拍)
- きんむち(4拍)
特殊拍の発音のコツはこちら
↓
✅小さな「っ」は、「っ」でストップして、1拍休みます。
✅「ん」は、鼻で発音します。
✅「長音」の「う/ー」は、「う/ー」の前を長く言います。「べんきょう」は「きょ」を長く言います。「コーヒー」の場合は、「コ」と「ヒ」を長く言います。
📌おすすめ練習方法~~
✅日本の童謡を聞く
童謡の中には特殊拍がたくさん入っています。楽しく聞いていると、だんだん拍が身につきます!
オススメ:「グーチョキパーでなにつくろう」「ネコふんじゃった」「あめふり」
✅「ことば」を一つ一つ丁寧に勉強する。耳だけの記憶に頼らず、新しく覚えた言葉は、スマホを使って、そのときそのとき確認しましょう!
✅音読をする 子供の「絵本」の聞き流しと、声を出して読むことをオススメします!

おもしろエピソード:拍まちがいでこんなことが…!
✅ じょうし(上司)を紹介するのに、いつも「私のじょし(女子)です。」と言っていた。
上司が女性で、部下が男性のときは、いい感じはしませんね。
✅ 「きんむち(勤務地)は、どこですか」と聞かれて、「キムチですか」と言ってしまった。
「ん」の発音がこんな言葉の違いを生み出します。
✅ しゅじん(主人)と、しゅうじん(囚人)と言い間違って使っていた。
自分の夫を「しゅうじん(囚人)」と言っている人は少なくないです。とても多いです!これは、要らない「う」を入れて、3拍が4拍になってしまいました。
まとめ
日本語の発音では、リズム(拍)がとても重要です。 「っ」「ん」「う/ー」も1拍として数えることを忘れずに、ゆっくり・はっきり話すようにすれば、だんだん上手になります!!
🔽 最後にひとこと: 「正しい拍」で話すと、自然な日本語感がでますよ~~。
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